天龍院は大阪市天王寺区城南寺町に位置する浄土宗の寺院である。城南寺町は豊臣秀吉が大坂城を築いた天正11年(1583年)以降、城の南方に形成された寺院街であり、現在も多くの寺院が密集している。「天龍」は天に昇る龍を意味し、仏法を守護する天竜八部衆(仏法を守護する神格)の一つ「天龍」に由来すると考えられる。龍は仏教において水と豊穣を司り、仏法の守護者として寺院名や堂号に多く用いられてきた。浄土宗は法然上人が平安末期から鎌倉初期に確立した宗派で、念仏称名のみで往生できると説く革新的な教えは、貴族・武士・庶民の別なく幅広い信仰を集めた。天龍院は江戸時代を通じて城南寺町の住民の菩提寺として機能し、幕末・…