全慶院は大阪市天王寺区城南寺町に位置する浄土宗の寺院である。「全慶」という名は「すべての慶び(めでたさ)に満ちる」という意味合いを持ち、阿弥陀仏の救済によって往生の慶びが万人に開かれるという浄土宗の教えを体現している。城南寺町は江戸初期の幕府による都市再編(大坂夏の陣後、1615年以降)によって形成された寺町で、全慶院もこの政策のもとで現在地に定着したと伝わる。「院」という名称が示すように、元来は大寺に附属する塔頭形式で開創されたか、あるいは独立した小院として寺町に加わった可能性もある。浄土宗は法然上人(1133〜1212年)が創始し、念仏称名によって万人が往生できるという平等な救済観が庶民に…