富光寺は大阪市淀川区加島に位置する高野山真言宗の寺院である。加島の地は淀川の流れる湿潤な低地で、古代より摂津国の一部を構成してきた。高野山真言宗は弘法大師空海が弘仁7年(816年)に開創した高野山を根本道場とし、密教の修法・加持祈祷・護摩供を各地に広めた。近世においては多くの真言宗寺院が地方の農村にも設立され、厄除け・病気平癒・五穀豊穣などの現世利益を祈る場として民衆の信仰を集めた。富光寺の「富光」は豊かな光明(仏の光)を示す言葉で、密教的な光明遍照の思想を反映している。加島における浄土真宗寺院の多い中、富光寺は真言密教の修法を伝える独自の存在として地域信仰の多様性を示す。現在も護摩祈祷や先祖…