妙国寺は、室町時代の応永年間(1394〜1428年)頃、日蓮宗の布教僧によって上野国西部の富岡の地に創建されたと伝わる。法華経の教えを広めるべく当地に根を下ろし、以来600年余りにわたって地域の法華信仰の拠点として歩んできた。中世から近世にかけて、富岡周辺では養蚕・製糸業が盛んに営まれ、蚕の豊作を祈る養蚕信仰と法華経信仰が結びつくことで、寺院は農民や織物業者の篤い帰依を集めたとされる。江戸時代には地域の民衆信仰の場として定着し、本堂に日蓮上人像が安置されて題目信仰の中心となった。明治5年(1872年)の富岡製糸場開業以降、近代化の波が富岡を変えるなかで、製糸場で働く工女たちもこの寺に参拝し、労…