長安寺の創建は鎌倉時代末期の1300年頃とされ、真言宗の寺院として開かれたと伝わる。寺号「長安」は仏教文化が栄えた唐の都・長安に由来するとされ、東アジア仏教圏との精神的なつながりを名に宿している。本尊の薬師如来は病気治癒・健康祈願の仏として広く信仰を集め、温泉療養地として発展した湯河原において、湯治と薬師信仰は一体のものとして根付いてきた。境内には弘法大師(空海)ゆかりの伝説が残り、四国八十八箇所の石仏が境内を巡るように配置される「お砂踏み」の霊場が整えられている。これは遠方への巡礼が困難な人々が四国霊場と同等の功徳を得られるとされる信仰習俗であり、近世以降に全国各地で広まったものと考えられる…