安養寺は板橋区徳丸五丁目に所在する寺院で、「安養」という寺号は阿弥陀仏の極楽浄土(安養浄土)への信仰を寺名に込めた例である。徳丸地区は東武東上線の開通(1914年)以前は農業を生業とする集落であり、寺院は農家の菩提を弔う場として江戸時代から地域に根ざしてきたと考えられる。近世の武蔵野台地上に点在した寺院の多くは、浄土系または禅系の宗派と結びついて農村共同体の精神基盤を形成していた。安養寺もその流れのなかで、葬送・年忌・盆の法要を営みながら徳丸の人々の信仰を支えてきた。戦後の都市化により徳丸が住宅地に転じた後も、寺は変わらず地域コミュニティの中心として機能し、現在に至っている。