足利薬師堂の創建年代は明らかでないが、鎌倉時代に足利氏が下野国足利荘を本拠とした頃より、薬師如来信仰が同氏の庇護のもとで育まれたと伝わる。薬師如来は病気平癒・健康祈願の仏として古来広く信仰され、足利氏はその帰依を深めたとされる。室町時代には足利氏の一族が将軍家として京に拠点を移した後も、本拠地たる足利の地では薬師堂への信仰が地域に根付き、引き続き眼病・諸病平癒の霊場として機能したと考えられる。近世・江戸時代には地域民衆の信仰を集め、奉納物が積み重ねられていったとされる。明治以降の近代化の波の中でも堂宇は維持され、現在に至るまで毎年薬師祭りが執り行われている。足利学校・鑁阿寺と並ぶ歴史的市街地の…