福正寺は、大阪府泉佐野市南中樫井に位置する浄土真宗本願寺派の寺院である。浄土真宗本願寺派は親鸞聖人(1173〜1263年)の開いた宗派の流れを汲み、室町時代の蓮如上人の布教を通じて近畿・北陸を中心に急速に信者を拡大した。泉州地域においても多くの道場・寺院が設けられ、農村社会の精神的支柱となった。福正寺は地域の門徒衆の拠点として、樫井の農村コミュニティにおける葬送・法事・報恩講などの仏事を担ってきたと伝わる。「福正」の寺号は福徳と正法を意味すると考えられ、阿弥陀仏の本願によって正しい法(正法)のもとに人々が救われるという教えを体現した名であろう。江戸時代の寺請制度においても地域の戸籍管理に関わり…