津照寺は大同元年(806年)もしくは弘仁6年(815年)、弘法大師空海が室戸巡錫の折に開創したと伝わる。空海が延命地蔵菩薩を刻んで本尊とし、四国八十八箇所第25番札所として定めたとされる。中世には室戸の海民や廻船業者らによって「楫取地蔵」として厚く信仰され、漁や航海の安全を祈る霊場として定着した。室戸港を見下ろす山上に本堂が置かれ、急峻な石段を登る参拝の形式は中世以来変わらないとされる。近世には土佐藩の庇護のもと寺観が整えられ、室戸の港町文化と仏教信仰が結びついた独自の霊場として発展した。明治初年の神仏分離令の影響を受けつつも廃寺を免れ、遍路霊場としての法燈を守り続けた。近代以降も地元漁師・船…