室戸岬は高知県東端、太平洋に突き出た岬で、古来より黒潮が直撃する荒波の難所として知られ、船乗りにとって重要な航海目印であった。平安初期、弘法大師空海(774〜835)は若き日にこの岬の洞窟「御厨人窟(みくろど)」に籠もり、虚空蔵求聞持法を100日間修行したと伝わる。修行中に明星(金星)が口に飛び込む体験をして悟りを開き、岬から見える「空と海」だけの情景に触発されて「空海」の法名を得たという。この聖地体験が後の密教大成の礎となった。近代には1899年(明治32年)に室戸岬灯台が建設され、黒潮の難所を行く船舶の安全を守ってきた。2011年にはユネスコ世界ジオパークに認定され、大陸プレートの隆起でで…