さいたま市見沼区膝子に鎮座する八幡宮。永正6年(1509年)、膝子村の鎮守として創建された。主祭神は応神天皇で、騎乗の八幡神像(木像)が社宝として伝わる。境内には樹齢約300年と推定される大欅の神木がそびえ、市の天然記念物的存在として親しまれる。地名「膝子」の由来については、ひょうたん(瓢子)に似た地形説と、新編武蔵風土記稿に記された「膝のような形の子(こんもりした丘)」説の2説が伝わる。徳川吉宗の命で1727年に井沢弥惣兵衛が開削した見沼代用水により、かつての沼沢地は豊かな水田地帯へと変貌し、八幡宮は農業守護の神として村人の崇敬を集め続けた。夏には害虫を神輿とともに村境へ送り出す「虫送り」の農耕祭事が行われ、豊作への願いが今も境内に息づく。社殿脇には八幡神社遺跡の標柱が立ち、地域の古代からの歴史を刻む。
永正6年(1509年)の創建と伝えられる。中世の見沼一帯は広大な湿地帯で、膝子村はその縁辺の微高地に形成された集落だった。創建と同年には別当寺として真言宗智山派の満蔵寺が開かれ、神仏習合のもとで社務が行われた。享保12年(1727年)、徳川吉宗の命を受けた関東郡代の下で井沢弥惣兵衛が見沼代用水(東縁・西縁)を開削し、広大な沼は干拓されて水田となった。見沼通船堀(日本最古の閘門式運河の一つ)も同時期に整備され、農業生産力は飛躍的に高まった。こうした農業変革を経ても膝子八幡神社は農作の守護社として村人の信仰を集め続け、明治時代の神社整理においても独立神社として維持された。境内に残る八幡神社遺跡の標…