報恩院は大阪市中央区高津に位置する真言宗醍醐派の寺院である。真言宗醍醐派は平安時代初期に弘法大師空海(774〜835年)が唐から持ち帰った密教を源流とし、京都の醍醐寺を総本山とする。醍醐寺は874年(貞観16年)に聖宝理源大師が創建した古刹で、豊臣秀吉が1598年(慶長3年)に催した「醍醐の花見」でも名高い。大阪における真言宗醍醐派の寺院は、空海の密教が広く庶民にも浸透した平安・鎌倉期以降に各地で建立された。報恩院は高津宮の門前町として発展したこの地域に根付き、護摩法要や各種祈祷を通じて地域住民の現世利益と先祖供養を担う寺院として法脈を伝えてきた。