神奈川県川崎市川崎区本町に所在する浄土宗の寺院。正式名称は千手山念仏院一行寺、本尊は阿弥陀如来。寛永8年(1631年)、顕誉円照上人により、東海道川崎宿の繁栄期に念仏の道場として開山された。川崎宿は元和9年(1623年)に東海道二番目の宿場として設置され、一行寺はその8年後、宿場町の信仰の場として開かれた江戸初期の古刹。本尊とは別に安置される閻魔大王像が有名で、地元では親しみを込めて「お閻魔さま」と呼ばれ、「お閻魔さまのお寺」として川崎市民に古くから愛されてきた。閻魔像は恐ろしい忿怒の形相ながら慈悲を兼ね備え、悪人を戒めつつ善導する仏教の冥界思想を象徴する。昭和58年(1983年)に地元の「お閻魔さま復興委員会」が結成され、本堂と客殿が新築された。境内には川崎最初の私塾を開いた浅井忠蕭(あさい・ちゅうしょう)の墓、および富士講の指導者・西川光男の墓もあり、江戸から明治にかけての川崎の教育・…