稲荷山古墳は、埼玉県行田市埼玉(さきたま)に所在するさきたま古墳群の一員で、全長120メートルを測る前方後円墳である。1968年の発掘調査において後円部から出土した鉄剣に115文字の金象嵌銘文が刻まれていることが判明し、1978年のX線調査でその全容が明らかになった。この「辛亥年」(471年)の年号を含む銘文には「獲加多支鹵大王」(ワカタケル大王=雄略天皇)への奉仕を誇示する内容が記されており、5世紀後半における大和王権の関東地方への支配権の広がりを示す決定的な証拠として、考古学・歴史学に革命的な発見をもたらした。この金象嵌銘文鉄剣と一緒に出土した甲冑・銅鏡・玉類・農工具など多数の副葬品とともに国宝に指定されている。さきたま史跡の博物館では出土品の実物が展示されており、古代武蔵国の政治と大和王権との関係を学ぶことができる。国の特別史跡「さきたま古墳群」の主要構成員として、埼玉県最重要の歴史…