黒沢は青梅市北西部の山間に位置する集落で、石灰石採掘と林業を生業とした人々が暮らしてきた地区である。慈本寺は日蓮正宗の寺院として黒沢地区に根を下ろし、日蓮正宗が唯授一人の血脈相承によって正統な法を受け継ぐと主張する教義に基づく信仰実践の場を提供してきた。日蓮正宗は日蓮聖人の正嫡として大石寺(静岡県富士宮市)を総本山とする宗派で、法華経と大曼荼羅への絶対的な信仰を中心に据える。「慈本」の名は慈悲を根本とする仏教の心を表し、山村に生きる人々に慈悲の仏法を届けるという寺の使命を示している。現在も信徒への法要と信仰指導を通じて、黒沢における日蓮正宗の信仰コミュニティを支えている。