十王寺は大阪府池田市井口堂に位置する曹洞宗の寺院である。「十王」とは冥界の十人の王を指し、死後の審判と救済に関わる信仰は中世以降に民衆の間に広まった。曹洞宗は13世紀に道元禅師が宋から伝えた禅の法脈を基盤とし、その後瑩山紹瑾の時代に民衆への布教が進み、全国に多くの末寺が形成された。池田市井口堂は摂津国の内陸部にあたり、古代から中世にかけて農村共同体が形成されていた地域である。十王寺はこの地域の菩提寺として創建され、先祖供養と冥福祈願を通じて住民の信仰を集めてきたと伝わる。近代以降も坐禅の実践と葬祭の場として地域社会に根付き、法灯を守り続けている。