甲斐の猿橋は、室町時代の1400年頃に架けられたと伝わる。桂川が刻む深さ約30メートルの峡谷に、橋脚を用いず両岸の岩盤から「はね木」と呼ばれる刎木を四層に張り出して橋桁を支える独自の刎橋(はねばし)構造を持ち、日本三奇橋の一つに数えられる。江戸時代には甲州道中の重要な通行路として整備され、参勤交代の大名や多くの旅人が渡ったと伝わる。江戸後期には葛飾北斎らにも描かれ、その景観の雅さが広く知られるようになった。明治以降も数度にわたり修繕・架け替えが行われ、昭和59年(1984年)に現在の橋が伝統的な刎橋工法を忠実に再現する形で復元された。同年、国の名勝に指定され、深い渓谷美とともに「関東の耶馬渓」…