海寳寺は大阪市中央区谷町に位置する日蓮宗の寺院である。「海寳」の寺号は海のように広大な宝の法蔵、すなわち法華経の功徳の深さを表す命名と解される。谷町周辺は豊臣秀吉が大坂城を築き(1583年)城下町を整備した際に、多くの寺院が移転・集住した地域であり、海寳寺もこの都市形成の歴史と結びついた寺院と考えられる。江戸時代を通じて大坂の日蓮宗信仰は旺盛で、法華経の読誦・唱題と法要が定期的に行われた。谷町という地名は古代の「田辺(たなべ)」に由来するとも伝わり、古くから人々が住んできた地である。海寳寺は近世以降の大阪下町文化の中で地域住民の菩提寺として根付き、今日に至るまで法華経信仰の灯を守り続けている。