大本山鴨川大本寺は、1280年(弘安3年)に創建されたと伝わる日蓮宗の古刹である。安房国は日蓮上人の出身地であり、上人が法華経の布教を最初に行った地域として宗門上特別な位置づけを持つ。創建にあたっては、日蓮の直弟子またはその門流が開山に関わったとされるが、詳細は定かでない。中世を通じて安房における日蓮宗信仰の拠点として機能し、地域の庶民信仰を支えた。近世には幕府・諸藩の宗教政策のもとで寺院としての組織が整備され、本尊・釈迦如来を中心とした法儀が継承された。近代以降は明治の神仏分離令や廃仏毀釈の影響を受けながらも寺院としての伝統を維持し、日蓮の法難と布教の歴史を語り継ぐ年中行事を現代に至るまで続…