万福寺は関東大震災後の1920年代から30年代にかけて、東京下町の被災地から北烏山へ移転した寺院群の一つである。北烏山5丁目には浄土真宗本願寺派の寺院が軒を連ね、震災復興期に形成された寺院街の面影を色濃く残している。浄土真宗本願寺派は阿弥陀如来の本願力によって衆生が救われるという「他力本願」の教義を根本とし、万福寺もその精神に基づいて門徒組織を整えてきた。戦後の高度経済成長期には北烏山周辺の宅地化が進み、寺院は新住民にとっても精神的な支えとなった。現在は春秋の彼岸法要や盂蘭盆会を中心に地域と結びつき、仏縁を繋いでいる。