理智院は岬町多奈川谷川に位置する真言宗御室派の寺院である。真言宗御室派は弘法大師空海(774〜835)が開いた真言密教の流れを汲み、京都・仁和寺(おむろ御室)を総本山とする宗派である。仁和寺は宇多法皇が888年に創建した皇室ゆかりの門跡寺院で、平安時代から明治に至るまで皇族が門主を務めた格式高い寺院として知られる。空海は中国・唐で不空三蔵の密教を受け継いだ恵果阿闍梨に師事し、帰国後に真言密教の体系を確立して高野山金剛峯寺を開いた。真言密教は加持祈祷・息災延命の霊験で知られ、漁村・農村の人々に広く受け入れられた。理智院は密教の修法と地域の葬祭を担いながら、多奈川の人々の信仰を集めてきた。