恵比寿は明治20年(1887年)にサッポロビール(当時・日本麦酒醸造会社)が工場を開設したことで発展した近代産業都市で、醸造業に従事する労働者が多く暮らした地区である。松泉寺は臨済宗妙心寺派の禅寺として恵比寿南に根付き、「松(常緑の松)の下に湧く泉」という名のとおり、禅の清澄な心境を自然の情景で表現している。臨済宗妙心寺派は妙心寺(京都)を本山とし、「公案禅」と呼ばれる師弟間の問答による禅修行を特徴とする宗派である。恵比寿の近代産業地区にあって、松泉寺は禅の清澄な精神を守る場として機能し、工場労働者や地域住民の心の支えとなった。現在も恵比寿南の住宅地において、坐禅会・法事などを通じて臨済禅の伝…