妙香院は大阪市北区兎我野町に所在する浄土宗の寺院である。寺号「妙香」は仏前に供える優れた香りを意味し、阿弥陀仏の浄土の芳しさを比喩的に表す格調ある寺名である。法然上人(1133〜1212年)が開いた浄土宗の末寺として、妙香院は大坂の市街地に成立した寺院であり、兎我野町の地域住民の信仰的な拠り所となってきた。江戸時代の大坂において浄土宗は、商工業に従事する市民層に広く支持されており、念仏による往生という平易な教えが受け入れられた。妙香院は葬祭・年忌・彼岸・盂蘭盆会などを通じて地域の檀信徒と結びつき、近世以来の菩提寺としての役割を担ってきた。明治維新後の宗教法制整備を経て宗教法人として体制を整え、…