永代は江東区の南部に位置し、永代橋(1698年初架橋)周辺に広がる商業・物流の要衝であった。日蓮宗延壽教會は明治以降の近代的な宗教改革のなかで生まれた「教会」形式の日蓮宗布教拠点で、伝統的な寺院とは異なり在家信者を中心とした法座・講義を主な活動とする。「延壽」の名称は「命を延ばし長寿を授かる」という祈願を意味し、日蓮宗の現世利益(病気平癒・長寿・家内安全)への指向と重なる。明治期に政府が宗教法人の制度整備を進めるなかで、日蓮宗は在家信者への普及を図る教会組織を各地に設立した。永代という水運の要衝に設けられた延壽教會は、商人・船乗り・工場労働者など幅広い層に題目信仰を広め、現代に至るまで永代地区…