下谷は上野の南側に広がる下町で、江戸時代から庶民の暮らしが根付き、入谷の朝顔市は今も続く夏の風物詩として知られる。最上寺はこの下谷に建立され、「最も上(かみ)の往生」すなわち阿弥陀如来の浄土に往生する究極の幸福を説く浄土宗の念仏道場として機能してきた。「最上」とは九品往生の最高位を指し、念仏によって誰もがその最上の境地を目指せるという法然の平等思想を体現している。江戸の庶民が生老病死の苦しみを念仏に委ね参詣し、近代以降も浄土宗の伝統を堅持し、現代においても下谷の念仏の拠り所として法灯を守っている。