正洞院は台東区下谷二丁目に位置する曹洞宗の寺院で、道元禅師が開いた只管打坐の禅の教えを伝えてきた。「正洞」とは正しい洞(あな・窟)、すなわち正しい禅の修行の場を意味し、禅の真髄を伝える修行道場としての意志を院名に込めていると解釈できる。下谷は台東区の南西部に位置し、下谷神社(田原町)や入谷鬼子母神(真源寺)にほど近い歴史ある下町である。江戸時代から商人・職人が集住し、入谷の朝顔市(毎年7月開催)でも知られる賑やかな地域として栄えてきた。下谷には正洞院・全得寺など複数の曹洞宗寺院が点在しており、この地区が曹洞宗の信仰コミュニティとして機能してきたことが窺われる。正洞院はこうした下谷の歴史的環境の…