宝珠院は摂津国八十八箇所霊場第10番札所として知られる真言宗の古刹である。摂津国八十八箇所は四国霊場八十八箇所を模して設けられた「写し霊場」で、江戸時代中期に庶民の間で広まった巡礼路と伝わる。四国への長旅が困難な大坂の人々が弘法大師の加護を身近に受けられるよう、摂津一帯に88の寺院が選定された。宝珠院の山号「菅原山」は菅原道真公との縁を示すとも伝わり、学問・文芸への祈願も集めてきたとされる。寺が立つ与力町は江戸時代に大坂西町奉行所の与力・同心が住まう武家地であり、寺社は地域住民の心の支えとして機能した。明治維新以降も信仰の灯は絶えず、戦後の大阪市街地復興とともに境内を維持し、今日もお遍路装束の…