川崎市宮前区東有馬3丁目(旧・橘樹郡有馬村)に鎮座する小さな不動尊で、本尊は不動明王の立身木像。江戸時代の地誌『新編武蔵風土記稿』には、堂宇は二間四方、本尊は「立身の木像にて長一尺五寸」と記録されている。創建年代は不詳だが、堂下にはかつて滝・滝壺があり、修験者や村人の水垢離(みずごり、滝行)の場として機能していたと伝わる。後背の森にはかつて小杉西明寺が存在したとされ、不動尊と西明寺が一体の宗教空間を形成していた可能性が高い。明治の神仏分離以降は地元住民・百姓の管理下で維持され、近世以来の素朴な不動信仰を今に伝える。鷺沼・宮前平地区の有馬神社(鷺沼)や東泉寺(鷺沼)と並び、宮前区有馬地区の歴史散策コースに組み込みたい隠れた信仰スポット。東急田園都市線鷺沼駅から徒歩15分、宮前平駅から徒歩10分、有馬川と東名高速の側道沿いの住宅地に佇む。
下有馬不動尊の正確な創建年代は不詳だが、江戸後期の地誌『新編武蔵風土記稿』(文政11年・1828年完成、橘樹郡之巻所収)に「不動堂」の項目で記載されており、少なくとも江戸時代中期以前には存在していたと考えられる。同書には堂宇の規模(二間四方)、本尊(立身の木像、長一尺五寸の不動明王)、管理者(百姓)まで具体的に記録され、村の小堂として機能していた様子が窺える。最大の特徴は、不動堂の下に滝・滝壺があったという記録で、これは修験道や民間信仰における「水垢離(みずごり)」の場として機能していたことを示す。江戸期の関東農村部では、不動尊や白滝のあるお堂・神社が水行・冷水浴による身体の清浄化と災厄除けの…