稱念寺は天王寺区夕陽丘町に位置する真宗大谷派の寺院である。「稱念」の寺号は「念仏を称える」ことを意味し、「南無阿弥陀仏」の称名念仏を根本とする浄土真宗の信仰の核心を寺名に体現している。真宗大谷派の教義は鎌倉時代の親鸞聖人(1173〜1262年)に始まり、悪人正機の思想のもと、煩悩を抱えたすべての人が阿弥陀仏の本願力によって救われると説く。夕陽丘町には複数の真宗・禅宗系寺院が混在しており、近世大阪における宗派の多様性を示している。稱念寺は近世以降に地域の門徒たちの求めに応じて成立し、報恩講・彼岸会・盂蘭盆会などの年中行事を通じて地域の信仰コミュニティを形成してきた。大谷派の末寺として現在も東本願…