川崎市多摩区宿河原に鎮座する古社で、祭神は応神天皇。江戸時代は「**正八幡宮**」と称し、宿河原村の鎮守として崇敬されてきた。もとは多摩川北岸(現在の東京都側)に鎮座していたと伝わるが、安政年間(1854-1860年)頃の**多摩川洪水で流失**し、常照寺観音堂の境内に遷座して再建された経緯を持つ。多摩川氾濫による度重なる社地変更は、江戸〜明治の多摩川流域の水害史・治水史と神社の歴史が不可分に結びついた典型例で、二ヶ領用水の整備と共に歩んできた宿河原地区の古い記憶を今に伝える。例大祭は10月に催行され(『新編武蔵風土記稿』では9月28日の記載)、江戸期以来の村祭りの伝統が続く。周辺には**二ヶ領用水宿河原堰**、**宿河原縄文時代低地遺跡**など多摩川氾濫原の歴史遺産が点在し、宿河原桜並木の春と合わせて歴史散策の拠点となる。