横浜市青葉区田奈に鎮座する諏訪神社で、建御名方神を主祭神として田奈地区の産土神として祀られてきた。田奈という地名は「田んぼの奈(那・菜)」、すなわち田畑が広がる地を意味し、古くから農業が盛んであった地域の名称である。現在の田奈駅周辺は、かつて田奈弾薬庫(現・横浜市田奈射撃場・よこはまポートサイドフィールド)が占めていた軍用地であり、戦後に農地や公園として整備された特殊な歴史的背景を持つ地域である。この諏訪神社は弾薬庫設置以前から地域に存在していた古社で、地域の農民たちが農業の守護神として崇めてきた。農業の神であり水の神でもある諏訪神を祀ることで、豊かな水を必要とする田奈の水田農業が守られると信じられた。境内には古い石灯籠と拝殿が残り、農村時代の信仰の歴史を伝えている。田奈地区の隠れた歴史的スポットとして、知る人ぞ知る静かな神社である。
諏訪神社(田奈)の創建年代は明らかでないが、建御名方神を祀る諏訪信仰は中世以降に関東各地へ広まったとされており、本社もその波及のなかで田奈の農民たちによって勧請されたと伝わる。田奈の地は古くから水田農業が営まれた低地であり、水を司る諏訪神への信仰は農業用水の確保と豊作祈願に深く結びついていたとされる。近世(江戸時代)には周辺の村落の産土神として地域住民の崇敬を集め、農耕儀礼や祭礼の中心的な場として機能していたと考えられる。明治維新後の近代化の過程でも地域の鎮守として存続したが、大正から昭和初期にかけて現在の田奈駅周辺一帯に軍の田奈弾薬庫が設置されると、その周辺地域は大きく様変わりした。社は弾薬…