善正寺は大阪市北区西天満に位置する日蓮宗の寺院である。日蓮宗は鎌倉時代の文応元年(1260年)、日蓮聖人(1222〜1282)が「立正安国論」を北条時頼に提出して国家の危機を訴えたことを一つの出発点とする。法華経を唯一の正法とし、「南無妙法蓮華経」の唱題によって人々の成仏と国家の安寧を実現しようとしたその教えは、中世・近世を通じて畿内の商人・職人層にも広まった。大坂における日蓮宗寺院は、戦国時代に石山本願寺との軋轢もあったが、江戸時代には商都大坂の都市社会に溶け込み、法要・祈願の場として機能した。善正寺はこうした日蓮宗の地域展開の中で西天満に根付いた寺院として歴史を刻む。