慶安元年(1648年)に開創された臨済宗妙心寺派の寺院。寛文年間に五代将軍綱吉の側用人・牧野成貞が帰依して堂宇を再興し、寺運が大いに隆盛した。牧野成貞は綱吉の信任篤い側近で、生類憐みの令の施行にも関与した人物として知られる。境内には俳聖・松尾芭蕉ゆかりの句碑「芭蕉翁雪塚」があり、芭蕉が深川に庵を構えていた頃にこの寺を訪れた縁を伝える。芭蕉は元禄2年(1689年)に『奥の細道』の旅に出発する前、深川周辺の寺社を頻繁に訪れており、要津寺もその一つであった。本所・深川地区の臨済禅の拠点として江戸時代を通じて文人墨客が集い、禅と文芸が融合する独特の文化圏を形成した。関東大震災後に再建され、現在も閑静な境内に芭蕉の句碑が佇む。都営新宿線森下駅から徒歩5分。