釈迦如来は、実際にインドで生きた人間・ゴータマ・シッダールタが悟りを開いた姿を表します。一方、大日如来(だいにちにょらい)は真言宗の根本尊であり、宇宙の根本原理・真理そのものを人格化した「法身仏(ほっしんぶつ)」です。真言宗では釈迦如来を「大日如来が衆生救済のために人間界に現れた姿(応身・応化身)」と解釈します。禅宗・天台宗では釈迦如来が最重要の本尊ですが、真言宗では大日如来が最高位に置かれます。
「お釈迦様が亡くなった日」に参拝する行事はありますか?
はい、毎年2月15日に各寺院で**涅槃会(ねはんえ)**が行われます。この日に合わせて大きな涅槃図(釈迦の入滅を描いた絵画)が公開される寺院が多く、東福寺・建長寺・円覚寺などでは普段非公開の大涅槃図が境内に掲げられます。静寂の中で涅槃図と向き合う体験は、仏教の本質に触れる深い機会です。
禅宗の教えは、文字や経典によらず、坐禅による直接の体験(「直指人心・見性成仏」)によって悟りを伝えるという考え方を中核とします。この「以心伝心」の伝え方は、ゴータマ・シッダールタから弟子への「不立文字の伝法」に由来するとされます。そのため禅宗では、経典の教え以前に「釈迦如来が悟りを開いた事実そのもの」が最重要であり、釈迦如来を根本尊として位置付けることが自然な帰結となります。
日本では北枕を「縁起が悪い」とする俗信がありますが、これは涅槃像に由来するものです。釈迦が北枕で入滅したことから、「死後は仏のように北枕に」という発想が生まれ、それが転じて「北枕=死の方角」とされました。しかし本来、涅槃像の北枕は「釈迦が完全な解脱に至った完成の姿」を象徴するものであり、不吉な意味はありません。先達の精神が息づくこの逸話は、仏教と日本の民間信仰が深く結びついた一例といえます。