茨城県日立市東成沢町の谷あいに祀られる小堂で、不動明王(ふどうみょうおう)を本尊とする。「あずきあらいふどうそん」と読む。創建年代は不詳だが、近世以来の地元信仰の場として地域に親しまれてきた。「小豆洗(あずきあらい)」の名は、堂の傍らに湧く清水で神霊が小豆を研いだという民間伝承に由来し、「夜中にしゃきしゃきと小豆を研ぐ音が聞こえる」という妖怪伝承の系譜とも結びつく独特の名称である。本尊の不動明王は、火焔光背を負って剣と羂索を持つ密教の明王として、煩悩・災厄を断ち切る厳しい仏として崇敬される。地元では厄除け・身代わり守護の祈祷所として、節分の護摩供養や毎月28日の不動縁日に参拝者を集めてきた。御岩神社や賀毗禮神宮の修験道系霊場と共通する不動信仰の系譜を持ち、日立市内の里の祈りを支えてきた小規模ながら趣のある霊場である。JR常陸多賀駅から徒歩約25分。
小豆洗不動尊の正確な創建年代は史料に明記されていないが、当地・東成沢の谷あいは江戸時代中期以前から不動明王信仰の小規模な祈祷所として機能していたと伝わる。不動明王は密教の五大明王の中心で、平安時代以降の修験道・真言宗系の山岳信仰と深く結びついてきた仏で、当地もそうした近世の里山修験文化の末端に位置づけられる祈祷所であった。御岩神社(日立市入四間町)や賀毗禮神宮を中心とする御岩山系の修験道圏に属する小堂として、修験者・行者が周回する巡拝路の一つに数えられたとされる。「小豆洗」という独特な名称は、当堂のそばに湧く清水で「神霊が小豆を研いだ」「夜中にしゃきしゃきと小豆を研ぐ音が聞こえた」という民間伝…