大法寺は長野県小県郡青木村に所在する天台宗の寺院で、建武年間(1334〜1336年頃)ないし元徳元年(1329年)の創建と伝わる。鎌倉時代末期から南北朝期にかけて建立されたとされる三重塔は、14世紀初頭の和様建築の精華として現存し、国宝に指定されている。その優美な姿に参拝者が思わず振り返ることから「見返りの塔」の名で広く親しまれてきた。中世には別所温泉周辺の信仰圏に属し、安楽寺・常楽寺とともに「別所三楽寺」のひとつに数えられ、信州における天台・禅宗系仏教文化の拠点として機能したとされる。近世には幕藩体制下で地域の寺院として維持され、近代以降も堂塔の保全が図られた。昭和初期に三重塔が国宝(旧国宝…