安楽寺は、鎌倉時代中期の1279年(弘安2年)頃に創建されたと伝わる、信州最古の禅寺とされる曹洞宗の古刹である。開山は樵谷惟仙(しょうこくいせん)と伝えられ、中国・宋から渡来した禅僧によって禅宗の教えが当地にもたらされたとされる。鎌倉時代後期から南北朝時代にかけて寺勢が隆盛し、境内に現存する国宝・八角三重塔もこの時期(13世紀末〜14世紀)に建立されたと考えられている。この塔は日本唯一の木造八角三重塔であり、中国・宋元時代の建築様式(禅宗様=唐様)を色濃く継承する貴重な遺構である。室町時代以降は戦乱や火災によって寺勢が一時衰退したとされるが、江戸時代には曹洞宗の寺院として再興・整備が進んだ。明…