東郷寺は、昭和14年(1939年)に日蓮宗の寺院として創建された。その地はかつて日露戦争における連合艦隊司令長官として活躍し「軍神」と称された東郷平八郎元帥(1848〜1934年)の別邸跡であり、元帥の没後にその遺徳を偲んで寺院が建立されたとされる。創建にあたり、東郷元帥ゆかりの地という精神的背景が強く意識されたと伝わる。山門脇に植えられたしだれ桜は、樹齢を重ねるにつれ府中市を代表する桜の名所として広く知られるようになった。この桜の楼門の景観は、昭和25年(1950年)に公開された黒澤明監督の映画「羅生門」における楼門のモデルになったとも言われ、映画史的にも注目される場所となっている。戦後も境…