真言宗豊山派に属する法乗院は、深川二丁目に位置する「えんま堂」として江戸時代から広く知られた名刹である。豊山派の総本山は奈良・長谷寺で、観音信仰と密教の融合を特色とする。法乗院のえんま堂(閻魔堂)は江戸庶民の間で厚く信仰され、死後の裁きを司る閻魔大王への参詣は罪の懺悔と先祖の冥福を祈る場として機能した。深川は富岡八幡宮・深川不動堂の門前町として栄え、隅田川沿いに寺院が密集する「深川の寺町」として江戸随一の宗教的景観を誇った。法乗院もこの深川寺町の一角を担い、庶民信仰の中心として賑わいを見せた。現在は「東京のえんま様」として知られ、1月・7月の縁日「閻魔詣り」には多くの参詣者が訪れる。