一宮神社は神戸市中央区山本通に鎮座し、田心姫命を主祭神とする古社である。創祀の詳細は定かでないが、生田神社に奉斎された宗像三女神の八柱の御分霊を各地に祀ったのが起源と伝わり、一宮から八宮までの「神戸八社」として中世以来一体的に崇敬されてきた。毎年節分の日に一宮から八宮を順番に参拝する「神戸八社巡り」は江戸時代から庶民に親しまれた慣習で、一年の厄を払い福を招く巡礼として定着した。生田神社の摂末社的な位置づけのもと、一宮神社は三宮駅北側の山手地区の産土神として地域住民の日常信仰を支えてきた。境内に残る江戸期の石灯籠は往時の信仰の厚さを今に伝えており、神戸開港以後も異国情緒漂う旧居留地近辺の鎮守とし…