慈恩寺は青梅市御岳本町に位置する真言宗豊山派の寺院で、武蔵御嶽神社の門前町・御岳本町に建つ古刹である。御岳は標高929メートルの御岳山に鎮座する武蔵御嶽神社への参詣拠点として江戸時代から栄えた門前町で、宿坊・茶屋・商家が立ち並ぶ山岳信仰の聖地の入口であった。「慈恩」の名は仏の慈悲と恩恵を表し、山岳参詣者を温かく迎え入れる寺院の姿勢を示している。神仏習合の時代には御嶽山の神仏が一体として信仰されており、仏教寺院と神社が共存する門前町の景観の中で慈恩寺も重要な役割を担ってきた。明治の神仏分離後も山岳信仰の拠点としての御岳の性格は継続し、慈恩寺は地域住民の菩提寺として今日に至る。