東京都中野区本町に所在する曹洞宗の寺院。山号は多宝山。室町時代、紀伊国熊野から武蔵国に下って中野から新宿西部一帯を開拓し莫大な富を築いた「中野長者」こと鈴木九郎が、永享10年(1438年)に小田原最乗寺第5世・春屋宗能禅師の教化を受けて出家し、自邸のあった西新宿・十二社(現在の西新宿熊野神社の地)に創建した「正観寺」を起源とする。九郎は応永年間(1394-1428年)に当地の熊野十二所権現を勧請して新宿総鎮守の熊野神社も開いた、中野・新宿の地を開いた伝説的商人である。出家後の九郎は「成願(じょうがん)」と号し、その庵は後に弟子の代で寺号を「成願寺」と改め、寛永5年(1628年)に神社と寺が分離されて現在の中野区本町へ移転した。境内には鈴木九郎と娘・小笹の墓が残り、落語や歌舞伎の題材にもなった「中野長者伝説」(娘の死を機に九郎が出家したとの伝承)を今に伝える。曹洞宗寺院では珍しい十一面観音を…