寒松院は台東区上野公園に位置する天台宗寺院で、寛永寺の塔頭のひとつである。「寒松」とは厳しい冬寒の中でも緑を失わない松のことで、日本では古来から松は不変・長寿・節操の象徴として広く崇められてきた。「歳寒然後知松柏之後凋」(冬になって初めて松柏が最後まで枯れないことがわかる)という孔子の言葉にも通じ、逆境の中でこそ真価が発揮されるという精神を体現している。仏道修行においても、困難な中でも修行を続ける「堅固な意志」を象徴するものとして松が用いられてきた。寛永寺が徳川家の祈願所として絶頂を誇った江戸時代、寒松院はその中で格式ある子院として法統を維持した。1868年の上野戦争で周囲の伽藍が失われた後も…