大仰寺の境内に位置する富山観音堂は、延暦25年(806年)に坂上田村麻呂が創建したと伝わる。以来、陸奥の霊地として信仰を集め、中世には奥州の武家や公家からも篤い崇敬を受けたとされる。近世に入ると松島一帯の景勝が広く知られるようになり、富山山頂からの眺望は「麗観」として松島四大観の一つに数えられた。歴代の歌人・俳人もこの地を訪れ、和歌や俳句に詠み込んだ。桃山時代に造られたとされる本尊聖観音像は、松島湾を見下ろす山上の御堂に安置され、現在は宮城県指定文化財に指定されている。明治以降も大仰寺の管理のもとで法灯が守られ、標高117メートルの富山頂上に立つ観音堂は、今日も参詣者や景勝を求める人々を迎えて…