衣張山熊野神社は、1190年(建久元年)頃に創建されたと伝わる。源頼朝が鎌倉に幕府を開いた時代、紀伊国の熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)への信仰は武家社会にも深く根付いており、鎌倉幕府の武士たちは熊野詣を盛んに行った。こうした熊野信仰の広まりを背景に、鎌倉近郊の衣張山にも熊野の神が勧請されたとされる。衣張山の名は、源頼朝がこの山に白衣を張って雪景色に見立てたという伝説に由来すると伝わる。中世を通じて山岳信仰の場として地域に根付いた当社は、近世には村落の鎮守としての性格を帯びながら存続したと考えられる。明治時代の神仏分離令・廃仏毀釈の影響を受けたとみられるが、詳細は定かでない…