興正寺は大阪府泉南郡熊取町高田に位置する臨済宗妙心寺派の寺院である。臨済宗妙心寺派は関山慧玄(1277〜1360)が花園天皇の勅願によって京都・妙心寺を開いたことに由来し、室町時代以降に全国へ広まった。「興正」という寺号は「正法を興す」という志を表し、禅宗の教えを地域社会に広める役割を担ってきたことを示す。熊取町高田地区は和泉国の農村地帯の一部であり、この地域の寺院は農民や在地領主の帰依を受け、葬儀・法要・教化の場として機能してきた。江戸時代には寺請制度のもとで菩提寺としての役割が制度的に確立し、村民の戸籍管理も担う地域の宗教的行政的拠点として発展した。