台東区花川戸二丁目に建つ九品寺は、浅草寺の北に位置し江戸時代から歓楽の地として栄えた花川戸に根ざした浄土宗寺院である。九品寺という寺名は浄土宗の「九品往生」の思想に由来し、上品上生から下品下生まで九段階に分かれた往生の様相を示す教えを体現している。花川戸は芝居小屋・見世物・湯屋などが集まる庶民の歓楽街であり、多様な職業の人々が出入りした。九品寺はこうした花川戸の人々に対し、たとえ罪深い者でも念仏の功徳によって往生が叶うという法然上人の慈悲の教えを説いた。現在も浅草の観光地に隣接しながら、静かに念仏信仰の法燈を守り続けている。