久地伊勢山古墳は神奈川県川崎市高津区に所在し、多摩丘陵の南麓に位置する古墳時代中期の円墳である。直径約30メートルと推定されており、5世紀中頃に築造されたと考えられている。川崎市内には多摩川沿いを中心に複数の古墳が分布しており、古代における多摩川流域の豪族文化の広がりを示している。久地伊勢山古墳は「伊勢山」という名称からも窺えるように、後世に伊勢信仰と結びついた聖地として地域に受け継がれてきた。古墳の上や周辺に後代の社や祠が置かれるのは全国各地に共通して見られる現象で、古墳が持つ聖地としての性格が長く引き継がれた証拠である。川崎市は現代では工業都市として知られるが、その歴史は古代にまで遡り、多摩川・鶴見川沿いには縄文・弥生・古墳時代の遺跡が点在している。市内の史跡として保護されており、地域の歴史愛好家や小学校の社会科学習の場としても活用されている。