前山寺(ぜんさんじ)は弘法大師(空海、774〜835年)の開基と伝えられる真言宗の古刹で、平安時代初期の創建とされる。真言宗の信濃への布教と深く関わり、真田の里の山間に静かにたたずむ霊場として地域の信仰を集めてきた。境内の三重塔は室町時代(15世紀)の建立とされ、二・三層の縁と高欄が完成していないまま建設が止められた「未完成の塔」として知られる。にもかかわらずその姿がかえって美しいと古くから評価され、国の重要文化財に指定されている。真田氏・武田氏が信濃で活躍した戦国時代も地域の信仰の場として維持され、江戸時代には上田藩の庇護のもと寺院が管理された。明治の廃仏毀釈後も存続し、「未完成にして完成の…