萬福寺の「萬福」は「あらゆる福徳が満ちる」という吉祥の意味を持ち、禅宗的には悟りを開いて真の幸福に至るという理念を内包する寺号である。南馬込は大田区の台地に位置し、尾崎士郎・川端康成・室生犀星らが居住した「馬込文士村」として文化的に知られる地域である。曹洞宗は道元禅師が中国から伝えた禅を日本に広めた宗派で、「只管打坐(しかんたざ)」すなわち坐禅そのものを悟りの実践とする教えを根本とする。萬福寺は馬込の地域寺院として、坐禅会・法話の場を提供しながら、周辺住民の葬祭を担う菩提寺として機能し続けている。